私たちの印刷工場(こうば)は、後ろに荒川の流れる東京のはずれにあります。近くの交通機関は都電か都市バスしかありません。都電荒川線、荒川区役所前駅から歩いて5分。決して交通の便が良いとは言えないこの地で、創業58年目となりました。朝は7時から、夜は仕事があれば遅くまで、納期に合わせて土日や祭日もコットンコットン、印刷機械と製本機械が動いています。
ここで働く人たちは、みんなベテランの職人です。若い人でも10年以上の経験があり、信頼できる腕前です。この工場には古い機械しかありません。本当ならとっくの昔にスクラップされている機械たちを、自分の体のように愛情を込めて一つ一つ丁寧に手直ししながら作業をしています。
この工場でできる仕事は、少ない部数の墨版印刷です。色紙に墨版1色刷りで仕上げたパンフレットやチラシ、表紙は色紙を使い本文は白い紙にに墨版1色刷りをした小冊子や同人誌、マニュアル、会報誌を作らせていただいています。うちの工場は、普段お客様がコピー機などで印刷されている500部から3,000部ぐらいの仕事を中心に、印刷・製本しています。
なぜ旧態化したこの機械たちにまだ仕事があるのかというと。この部数はコピーや一般印刷(A2版以上の印刷機)より安く、キレイに製本できるからです。コスト意識があり、キレイな製本を望まれるお客様には大変喜ばれており、今日も東京の片すみで元気に営業しています。
私たちの印刷工場で行う軽印刷(A3版までの小さな印刷機)は、500部~3,000部の場合は、コピー機や一般印刷(A2版以上の印刷ができるおおきな印刷機)よりもコストが安くなるのが一般的です。軽自動車の「軽」の由来は、軽印刷にあります。しかし、軽印刷の方は時代とともに姿を消しました。小さな印刷機械を手がけるメーカーもなくなってきています。
コピーは、トナーを使って熱でトナーを溶かして印刷しています。そのため、紙の繊維を傷めてフニャフニャになり、腰のない紙になってしまって、カール(湾曲)のついた製本になってしまいます。職人たちは、「こんなの本じゃないよ」と言っています。私たちが行う製本作業では、カールのつかない職人が認めた、本当の仕上がりをお届けします。
私たちの印刷工場で行うオフセット印刷は、油と水の反発原理を使って紙にやさしくインキをのせているので、紙にダメージを与えません。そのため、コピーのようにロウソクのロウがのったようなこってりした感じではなく、紙にやさしさが出る印刷をしています。そこに当社職人のこだわりがあります。